街そだて憲章

「街そだて憲章」

(策定の経緯)

 アニメ映画「となりのトトロ」の舞台となった狭山丘陵の東端の八国山と鳩峰公園に囲まれた地域に広がる住宅地「松が丘」は西武鉄道グループによって開発され、昭和56年に第一期の入居者を迎えました。
そして周囲の恵まれた自然環境と景観を守っていくため、住民の間で「建築協定」が結ばれ、皆で遵守してきました。
この結果、美しい景観の街が生まれ、年々、風格も生まれてきています。加えて地道な自治会活動や各種行事の積み重ねによって住民同士のコミュニケーションも活発で、和やかで、誇りの持てる街に育ちました。
ところが、困った問題が持ち上がりました。環境と景観を守ってきた「建築協定」の第一期分が平成13年に期限切れを迎えることになったのです。「建築協定」を継続するためには、住民全員の合意が必要となります。
しかし、住民全員の合意を得るのは極めて困難なことです。これまでの環境と景観を守り続けていけるかどうか、危ぶまれる事態になったのです。
このため、住民みんなで、対応策を検討した結果、「松が丘のこころ」の精神に則り、この街の環境と景観を守り続けていくため、私たち住民は「建築協定」に代わる新しい街づくりの手法として半永久的な効力を持つ「地区計画」という手法を選択したのです。
ただ、住民同士の申し合わせである「建築協定」と異なって、市の条例で定められる「地区計画」は、法的な強制力を持つことから必要最低限の取り決めしかできず、細部にわたる取り決めをすることができません。また法律的な表現しか使えず、地区計画の考え方や内容をどう理解してよいのか分かりづらいのも確かです。
そこで、「地区計画」を補完するとともに、自主的なルールを、「街そだて憲章」(以下「憲章」という)として定めることにしました。

街そだて憲章 (地区計画に関する憲章)

 松が丘に土地を所有する者および借地権を有する者(以下「住民」と総称する)は、その土地建物の管理・使用および地区の環境保全に関する所有者相互間の諸事項について、次のとおり憲章を定めるものとします。
この憲章は、平成11年7月16日、法律第102号「都市計画法」第12条の4により定めた地区計画等の規定および平成13年2月15日、所沢市告示43号「所沢松が丘地区地区計画」により設定するものであり、松が丘の住民は安全で快適な生活を営むため、この憲章を遵守し、相互の理解と信頼に努めるものとします。

(憲章の目的)
第1条 “この豊かで美しい環境を守り、子供からお年寄りまで、皆が安全で文化的な生活を営めるように手を取り合っていこう”という「松が丘のこころ」にある“街づくり”を実現するために地区計画区域の「松が丘の住民」が自主的に定めるルールです。

(憲章の遵守)
第2条 地区計画区域の「松が丘の住民」は地区計画を補完する本「憲章」を遵守しなければなりません。

(対象地の範囲および区分)
第3条 この憲章の対象範囲は、別添図のとおりとします。
(1)一般住宅地区 別添図「一般住宅地」の範囲とします。
(2)林間住宅地区 別添図「林間住宅地」の範囲とします。

(建築物等の用途の制限)
第4条 高齢者社会に鑑み、専用住宅の範囲として二世帯住宅も含めるものとします。この場合の二世帯住宅は、出入り口を世帯別に設けることを認めるものとします。(長屋で住戸の数が2以下のものとします。)

第4条の2 次に掲げる兼用住宅は、それぞれの制限の範囲で建築できるものとします。
(1)事務所
著しく人の出入りの伴う業務の用に供する等の事務所は、近隣に迷惑を及ぼすと考えられるので、開設できないこととします。なお、敷地境界線から30mの範囲内の住民全員の合意を得ることとします。
(2)塾・教室その他類似の施設
これらの施設は、人の出入りが多くなることが想定されるので、近隣関係に十分注意を払い迷惑施設とならないよう気をつけてください。特に騒言を発生すると思われる施設は、防音対策等必要な設備を施さなければならないものとします。なお、敷地境界線から30mの範囲内の住民全員の合意を得ることとします。
(3)アトリエ
芸術的な制作活動を目的としたアトリエを想定しており、量販を目的とした制作拠点はできません。

第4条の3 診療所
(1)計画および建設時
建物敷地境から30mの範囲の隣接住宅に説明し、円満に開業できることを確認のうえ、建築確認を提出してください。
(2)開業後
通院患者の車両等が路上駐車にならないよう、十分な配慮をしてください。

第4条の4 公益上必要な建築物
基本的に公益上必要な建築物・工作物については協力するものとします。

第4条の5 集会所
自治会活動を目的とする集会所に限るものとします。

第4条の6 附属建築物
(1)物置
物置とは、市販の組立式物置および自作の物置をいいます。
(2)自動車車庫
自動車車庫とは、地下式車庫、組立式カーポートをいいます。ただし地上二層式車庫を作ってはいけないものとします。なお、建築物とみなされる車庫(屋根および柱もしくは壁があるもの)については、建ぺい率、容積率に面積が参入されますので十分注意してください。

(3)その他これらに類するもの
その他これらに類するものに含まれるものとは、自転車置場、犬小屋、温室等とします。温室とは、柱があり、屋根・壁面(ビニール・ガラス等の構造)等で囲まれている物をいい、建築物として取り扱われます。なお、温室では殺菌・騒音・振動等で近隣に迷惑を及ぼさないように十分配慮してください。犬小屋等で、人が出入り可能なものは建築物として取り扱われます。なお、糞尿等の処理には万全を期し、衛生的に対処してください。その他の畜舎(爬虫類舎を含む)、鶏舎(鳩小屋を含む)で近隣に迷惑を及ばすものは建築してはならないものとします。

(建築物の敷地面積の最低限度)
第5条 現状の街並みを保全し、将来においても、狭小敷地による住環境の悪化を防止するため、敷地の最低面積を定めることにします。
(1)一般住宅地区
敷地の最低限度は165m2と定め、(平成13年2月15日の時点において、)既存の敷地で165m2未満の敷地以外は認められません。したがって、165m2未満になる敷地分割はできません。
(2)林間住宅地区
敷地の最低限度は270m2と定め、(平成13年2月15日の時点において、)既存の敷地で270m2未満の敷地以外は認められません。したがって、270m2未満になる敷地分割はできません。

(最低面積以下の敷地での既存不適格)
第5条の2 平成13年2月15日時点において、一般住宅地区(165m2以下)および林間住宅地区(270m2以下)の敷地で、既にこの制限に適合していない土地については、そのままの形態で使用するものであれば何ら問題はありません。

(壁面の位置の制限)
第6条 隣地境界線までの一定距離は、環境上、プライバシーの保護上、防災上必要最低限の距離と考えられます。自動車車庫については、床面積は30m2以下とし、敷地境界線から一般住宅地区で1m、林間住宅地区で1.5mの範囲に建築物が入っても良いこととします。なお、建築物の基礎を兼ねるものについては、両地区毎の敷地境界線からの距離(1mないし1.5m)を守らなければならないものとします。詳細については、別紙を参照してください。

(建築物の高さの最高限度)
第7条 松が丘については、北傾斜の宅地が多いので、南側の敷地所有者は、建て替え、増改築時に北側の住民の環境に極力配慮してください。

(建築物の建ぺい率の最高限度)
第8条 建築協定書で定められていた建ぺい率(10分の4以下)とします。

(建築物の容積率の最高限度)
第9条 建築協定書で定められていた容積率(一般住宅地区は10分の8以下、林間住宅地区は10分の6以下)とします。

(建築物の形態・意匠の制限)
第10条 看板、アンテナおよび太陽光発電設備等について、色、デザイン、設置場所等に十分配慮し、蛍光色、原色等を使用しないことはもとより、デザイン等についても奇抜なものを避け松が丘の環境に配慮したものにして下さい。

第10条の2 看板は、一敷地内に一枚以内とし、自己用以外の看板を敷地内に立ててはいけないものとします。また、看板の大きさは1m2以内として下さい。

(かき、さく等の構造・制限)
第11条 生垣、透視可能なフェンス、石積塀としますが、この内石積塀については地震時等も想定し、適切な強度を持ち、地域住民に被害を及ぼさないよう十分注意して構築してください。

(地域内緑化について)
第12条 松が丘全体の緑被率(上空からの投影した緑の面積)の目標を50%程度としたいので、各区画ごとに分譲地購入時のように極力植栽面積を多くするよう努力してください。

第12条の2 敷地(区画)の緑化については、敷地(区画)面積の20%以上を目標とし、これに努めてください。なお、植栽する樹木の種類は松が丘住宅地のみどりを豊かにするため、それに適する樹木等を選んでください。
例として下記に掲げます。
イ)花または葉を楽しむ樹木等
(例)
モクレン、サクラ類、ハナミズキ、ウメ、コブシ、ヂンチョウゲ、ツバキ、ツツジ類、レンギョウ、アジサイ、サルスベリ、モクセイ、ムクゲ、ハギ、サザンカ、カエデ類等。
口)実が楽しめる樹木等
(例)
スモモ、ヒメリンゴ、カキノキ、グミ、アケビ、ブドウ、エゴノキ、ザクロ、ピラカンサス、クチナシ等。
ハ)小鳥が寄ってくる樹木等
(例)
ツバキ、モッコク、サンゴジュ、ヤマザクラ、モミジ、ガマズミ、サンショウ、ウメモドキ、ニシキギ、アオキ等。
ニ)家並をやわらげる樹木等
(例)
クロマツ、カシ類、モチノキ、ツゲ、コナラ、シュロ、シイ、クヌギ、シデ、ケヤキ、ツタ類等。
この目的が達せられるように土地の所有者等は樹木等の維持管理につとめなければなりません。

第12条の3  道路に面する生垣は、周囲の景観・美観を形作る重要な要素でありますので、景観・美観を損ねないように適正な管理に努めて下さい。また、生垣が公道に張り出しますと車椅子および安全な歩行の妨げとなることもありますので十分な管理を心がけて下さい。

第12条の4  松が丘の美しい景観を形成する街路樹は、市の管理ですが、私たち松が丘住民にとっても大事な財産です。良好な状況で保全されるように努力してください。

(地盤の改変および石積みの積み直し等)
第13条 自らの敷地より北側に隣地がある場合は、現在地盤(敷地面の高さ)を変更しないものとし、近隣相互に住みやすい環境を構築してください。

第13条の2 林間住宅地区において、建て替え、増改築時等で地盤(敷地面の高さ)の改変を伴う場合は、隣接地に説明し十分な理解を得て、近隣相互に住みやすい環境を構築してください。

第13条の3 本憲章設定時に構築されている石積箇所については、石積天端上から人工的な構築物を作らないでください。   ※ 別紙図面参照

第13条の4 石積の積み直しに際しては、石の種類は自然石(大谷石、間知石等)を基本としますが、コンクリート構造物にする場合は、前面を植栽で被覆したり、自然石による化粧を施すものとしてください。

(憲章の設定・変更・廃止)
第14条 本憲章は、自治会会員の3分の2の同意を持って成立します。変更・廃止も同様とします。

(建築物・工作物の既存不適格)
第15条 地区計画の施行以前に既に建築されていた建築物、また人工地盤等の工作物、かき、さく等の工作物で、本憲章の制限に適合していないものについても、敷地同様に制限は受けません。

(憲章の管理)
第16条 自治会会長によって管理し、松が丘中央会館に掲示します。

(憲章の管理体制)
第17条 自治会会長以下、その下に10名以上の地区計画委員を選任し憲章を施行します。

(憲章の効力)
第18条 住民同士の取り決めですから法的強制力はありませんが、建築申請の時に、行政指導の参考になります。

(委員長および委員の任期)
第19条 自治会会長は、その任期中を地区計画委員長として、会の運営にあたるものとします。

第19条の2 委員の任期は2年としますが、委員の再任は妨げないものとします。ただし、連続3期をもって最長の任期とします。

第19条の3 委員を退任した会員は、退任後2期4年以上経過しなければ委員に就任できないものとします。

(委員の選出方法)
第20条 憲章担当委員は、自治会員の中から選挙あるいは推薦により選出し、自治会総会の承認を得ることとします。ただし、転出、死亡等で憲章担当委員に欠員が生じた場合は、自治会役員会の承認を得た上で、これを補充することができるものとします。後日、自治会総会で、これを報告するものとします。

(憲章担当委員会の役割)
第21条 本委員会の役割は「所沢松が丘」地区計画条文に付帯する事項について、定められた条例に基づいて、所沢市建築主事に意見を具申するものとします。

第21条の2 自治会員相互のトラブル事項について調整仲介を目的とするものではないことを確認します。

本憲章については、平成13年7月1日から施行いたします。
付則  平成16年5月10日 一部を改正。

《語句の説明》
(林間住宅)
松が丘住宅地の開発の際に、自然環境を破壊するものだと環境保護団体から反対の声もあったということです。
そこで開発にあたっては、埼玉県と協議しながら、できるだけ周囲の自然環境と調和する形で進められたということです。
特に山に近い部分は、できるだけ緑の多い緩衝地帯の役割をもたせることにし、こうした考え方にそって、林間住宅が生まれました。
このため、林間住宅には一般住宅よりもゆったりとしたスペースと購入時に結ばれた建築協定による厳しい建築規制が課せられております。

(建ぺい率)
建物の建築面積(外壁等の中心線で囲まれた水平投影面積)の敷地面積に対する割合のことです。

(容積率)
建物の延べ面積(各階の床面積の合計)の敷地面積に対する割合のことです。

(地盤面の高さ)
西武不動産㈱もしくは西武鉄道㈱から引渡しを受けた日における敷地の形状による高さをいいますが、憲章第13条を参照してください。

(出窓)
床面より30cm以上のところより、奥行き30cm以内で、壁面積の半分までとした辺の合計が3m以内のものをいいます。(別紙図面参照)

(車庫)
地下式や組み立て式カーポートをいいます。

(畜舎等)
豚舎・牛舎・馬舎・腿虫類舎等をいい、床面積の合計が15m2以下のものをいいます。
ただし、人の出入りがあるものは建築できません。
鶏舎とは、鳥小屋の類を総称しています。なお鳩小屋も含みます。

(既存不適格)
地区計画の施行された時点(平成13年2月15日)で、敷地面積等が所沢松が丘地区地区計画条例および憲章の制限に適合していないものを既存不適格物(敷地・建築物・工作物)といいます。
ただし、地区計画条例施行時点以降に施工される建築物・工作物は、条例、憲章に合わせていただきます。

(北側斜線制限)
建築物の各部分の高さは、当該部分から前面道路の反対側からの境界線、または隣地境界線までの真北方向の水平距離に1.25を乗じて得たものに5mを加えたものです。