1月27日(月)、松が丘Yuiの一緒に考える会 「自宅療養への挑戦」を開催しました
<32名が参加した「松が丘Yuiの一緒に考える会」>
日 時:2020年1月27日14:00~15:30
テーマ:自宅療養への挑戦
場 所:松が丘中央会館
報告者:岩下清子
質問への対応:吾妻地域包括支援センター 大倉みゆき 様
参加者:松が丘住民人27名 吾妻地域包括支援センターより2名
所沢医療介護連携支援センターより1名、医療生協さいたまより2名 (合計32名)
1.報告内容の骨子
<報告者と地域包括支援センターの方>
報告資料の内容 (注:カーソルを画面上に置くと、左下に矢印がでます。矢印でページ送りができます)
在宅医療〇一般病床の入院期間は短くなっている。急性期治療が終わればすぐ、高齢者でも2週間以内で退院となるのが普通。
患者に早期退院を促す病院側には、
① 医療技術の進歩による病状の早期安定化
② 入院日数が長くなると診療報酬が下がり経営上問題
③ 新たな患者を受け入れるために、ベッドを空ける必要がある
などの事情がある。
〇早期退院には、「まだ体調が不安定」、「入院中に身体機能や認知機能が低下して元の生活に戻れない」、家族は「家で看ていけるか不安」などの問題がある場合も多い。
〇急性期治療後の選択肢としては、
① 一般病院から直接自宅復帰
② 回復期リハビリ病院、地域包括ケア病床のある病院、在宅強化型老人保健施設などに転院し、リハビリや自宅療養のための準備期間を経て自宅復帰
③ 長期療養型の病院・施設などに転院・入所
が考えられる。
〇自宅療養は、積極的な選択である場合もあるが、そうせざるをえないという消極的な選択もあろう。
〇自宅療養の積極的な選択とは、「通院治療を続けていたが次第に通院が困難となり、それでも家で暮らし続けたい」、癌の末期など「もう治療効果は望めないので、最期は家で過ごしたい」などである。
内閣府の調査(2012年)によれば、最期を迎えたい場所は自宅54.6%、病院など医療施設27.7%であった。
〇通院困難な人は、誰でも医療保険により自宅で医療(在宅医療)を受けることができる。在宅医療の中核は、医師による「訪問診療」・「往診」及び「訪問看護」である。定期的な訪問による病状管理、療養相談・指導、医療処置などが、医師あるいは医師の指示のもとで訪問看護師によって行われる。本人や家族からいつでも連絡を受けられる体制をとっており、必要があれば緊急対応が行われる。
〇自宅療養を行うには、在宅医療と介護サービスの利用準備が必要となる。両者を同時に必要とする場合は多いが、医療ニーズと介護ニーズは必ずしも並行しているわけではない。「在宅医療の導入を中心に据え、迅速に体制を整える必要がある場合」、「介護保険の利用準備を入院中から始め、時間をかけて体制を整える必要がある場合」など、自宅療養を可能にするための準備は一様ではない。
〇退院後すぐに自宅療養に移行する場合は、まず、通院の可否、在宅医療の利用の可否などを考慮し、退院後の受診先を決める必要がある。介護サービスの利用準備(要介護認定申請、ケアマネジャーの選定など)については、そのための支援を行っている病院もあるが、病院で支援が得られない場合は、まず地域包括支援センターに相談に行く。
〇自宅療養には多様なニーズがあって、様々な職種、複数の機関(病院、診療所、介護事業所など)が関わることになる。それらの連携の良否が自宅療養の質を左右する。介護保険サービスに関しては、ケアマネジャーが連携の要である。また在宅療養支援診療所は、医療を中心においた連携の要といえるだろう。
〇医療・福祉サービスがうまく活用でき、合わせて隣人、友人のちょっとした助けがあれば、高齢者世帯や一人暮らしであっても、生活の拠点を自宅に置いたまま、「時々入院・入所、ほぼ在宅」という暮らし方もありうるのではなかろうか。
〇自宅療養が可能な松が丘を目指して、「連携」と「助け合い」の推進に努力したい。
<質疑>
〇ケアマネジャーに相談すれば、多様なサービスをコーディネートしてくれると考えていいのか。
⇒ そう考えていい。高齢者が、いくつもの窓口へ行って手続する必要はない。(大倉氏)
⇒ 医療や介護が必要になっても、どのように暮らしたいか、どのように最期を迎えたいかなど、それぞれの想いがある。利用するサービスとそれを提供する介護事業所の選択に当たっては、受け身でなく、ケアマネジャーに自分の想い、希望を伝えることが大切。またそれを受け止めてもらえるケアマネジャーを選びたい。(報告者)
〇地域包括支援センターはいくつもあるのか。社会福祉協議会(社協)とはどう違うのか。
⇒ 所沢市には地域包括支援センターが14か所あるが、それぞれに担当地域が決まっている。松が丘は吾妻地域包括支援センターが担当している。松が丘の人が相談できるのはそこだけ。地域包括支援センターは、社会福祉法人などが市から委託を受ける形で、市の事業を担てっており、公的な機関といってよい。(大倉氏)
⇒ 所沢市社協は、会費、寄付金、市の補助金、事業委託料などを財源として、多様な福祉事業を行っている。地域包括支援センターは高齢者を対象にしているのに対し、社協の福祉事業の対象は赤ちゃんから高齢者まで幅が広く、地域としては所沢市全体である。(大倉氏)
⇒ 高齢者に関する困りごとは、社協でも応じてくれるが、まずは地域包括支援センターに相談に行く方がいい。地域包括支援センターは社協と協力して、一緒に問題解決に取り組むこともある。(大倉氏)
〇病院に通院し、専門医に受診している。今までの検査結果もそこにある。通院できなくなったからと言って、地元の訪問診療医に切り替えるのは不安がある。
⇒ 病院の主治医から訪問診療医に紹介状を書いてもらい、また訪問診療医が病院の主治医に問い合わせをすることは可能。(大倉氏)
⇒ 高齢になると、いくつもの病気を抱えることになり、今まで受診していた専門医だけでは対応できないことも出てくる。できるだけ幅広く、必要に応じて専門医と連携して対応してもらえるかかりつけ医を近くに持ち、通院できなくなったらそこから訪問診療を受けることが出来れば安心。(報告者)
〇友人から「夫が認知症になり、自分が仕事を続ける必要があり、病院で相談したところ、入院させられた。入院でよくなるとは思えない。自分としては家で何とか世話をして行きたいという気持ちはあるのだが・・・」と相談された。入院といわれても断る、あるいは入院となっても退院させることは出来るのか。
⇒ 本人や家族の意向を無視して入院させるということはあり得ない。本人や家族の意向が医師にきちんと伝わっていない、あるいは医師が入院治療と判断した理由が本人や家族に伝わっておらず、ズレがあるのではないか。入院するか否かは、本人にとっては自分の居場所がどうなるかという重大な問題であり、慎重に考えたい。ズレを感じても医師には言いにくければ、その病院の医療相談室に行って相談してみてはどうか。(大倉氏)
★「Yuiの寄り合い」について案内した。
1)毎月第1・第3木曜日の午後1時半から2時間程度、松が丘中央会館和室にて、「Yuiの寄り合い」を開催する。誰でも参加でき、ざっくばらんにお喋りできる場にすることを目指している。
2)2月からスタートするが、初回の2月6日のテーマは「自宅療養」。今回の勉強会と同じテーマで、もっと個別事情に即して問題点を出し合い、その解決策を皆で一緒に考えたい。
松が丘Yui 共同代表 小林義一・岩本哲夫